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短編集、最近気に入った2冊。

*「炎の中の絵」 ジョン・コリア

なんというか、ブラックなO・ヘンリという感じでしょうか。
そこまでのどんでん返しはなかったり、
オチが読めてしまったりするものもあるけれど。

20編の中で、おもしろいのあり、意味わからんのあり、
(表題作「炎の中の絵」とか、本当にわかんない)
やや古風な文章も好き嫌いありそうだけど、
なんとなくユーモラスで、これはこれで楽しい一冊でした。

気に入ったのは、結末まで書いていないお話。
「え? ここで終わっちゃうの?」と一瞬思うのだけど、
これから起こるであろうことへの不吉な予感を漂わせつつ
後は読者のご想像におまかせ、というラスト。
こういうラストって、特に短編だとけっこういいですね。
(「夢判断」「ささやかな記念品」「少女」など・・)

あとは、夫婦もののお話がけっこうありました。
それも、葛藤してたり相手を憎んでいたりというのばっか・・
なんだか身につまされるわ・・・。
そんな夫婦もののひとつ「保険のかけすぎ」は、それこそ、
O・ヘンリ「賢者の贈り物」の真逆みたいに言われるようですが、
ほんっとにばかばかしくておもしろいです。
生活費の9割、保険料に使っちゃぁ、だめだよね。

ノミが主人公の「ギャヴィン・オリアリー」も
「なんだこれ」と思いながらも、そのばかばかしさが好き。

この人の作品、現在本屋さんで入手可能なのは、この1冊だけらしい。
元々、作品自体が多くはないようなのですが、
他のもちょっと読んでみたいなぁ・・・ネット古本屋さん巡りか?


*「死神の精度」 伊坂幸太郎

一時期はまりにはまった伊坂氏、今も好きでちょくちょく読んでます。
しかし、はまった頃に単行本で買った
「重力ピエロ」も「アヒルと鴨のコインロッカー」も続々と文庫化、
それを本屋さんで横目で見ては「ちっ」と心の中で舌打ちしつつ、
結局また単行本で買ってしまった「死神の精度」。
なんだか、表紙と帯が気に入っちゃったもので・・・。

で、こーいうの、とっても好き。
死神・千葉さんは、人間に興味はないと言うし、
担当した人間のほとんどは、死ぬのは「可」にしちゃうし、
でもなんか妙にいい人っぽい(人じゃないけど)不思議。
淡々とはしているけれど、感情がないこともなく、
ミュージック大好きな死神さん。

以前、「ベルリン・天使の詩」という映画で、天使は、
ただ人間を見守って報告することしかできない立場だったけど、
死神っていうのも、そんな感じかなぁとかちょっと思ったり。
でも、この死神さんの場合は、
人の生死握っちゃってるから、ちょっと違うかな。

そんな、人の生死に関わる話なんだけど、
生きるとは・死ぬとは、みたいなことを深く考えなくていい、
こういう距離感が、やっぱりいいなぁ伊坂さん、とか思うのです。
そーいうことを考えてしまうお話も読みたいし、
そーいうことを考えずに楽しめるお話も読みたいもんね。

死神のルールをうまく活かした一編「死神と藤田」、
老女が魅力的な最終話「死神対老女」、特にお気に入り。
一応、最終話で一段落しているんだけど、
続きを書いてほしい(し、書いても不自然でない)と思いました。



by namit100 | 2007-02-14 14:36 | 本をよむ

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