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読書というぜいたく。

久しぶりに「忘れられた日本人」を読んでいます。
なにかの合間にちょこちょこ読んでいるので、
なかなか読み終わらないのですが・・・

前にこれを読んだのは、20歳前後の頃だったでしょうか。
淡々とつづられた、数十年~百年程度前の日本人の姿に
ゆるりとした楽しさを感じながら読みつつ、
そのくらしに猛烈にあこがれた記憶があります。

あこがれたといっても、そのくらしを自分もしてみたいとか
思ったわけではありません。

というか、たとえば田植の作業ひとつとっても、
今の私では1日ももたずにへばるに決まっていて、
とてもできたものではないし。
食べたり寝たりしながらも延々と続く‘寄り合い’とか
考えただけでだるいなぁと思うし。
お互いの家のことを皆が何から何までわかっているような
「村」に住むなんて気が狂いそうだし。
ラジオも新聞もなく、ましてや本も音楽も映画も、
もちろん野球もない(!)生活なんて考えられないし。

ただ、ここで語られるくらしには、
自分が生きている意味だとか
生きがいだとか
自分の存在価値だとか
そんなことに頭を悩ませるひとびとの姿がありません。

ひとびとは、それぞれの‘居場所’で
(それが「村」であれ、そこから疎外されたところであれ)
はたらき、与えられた役割を行い、
日々のくりかえしを淡々と生きているだけです。
それはあまりにも健全で、まぶしいものに思えたのでした。

現在読んでいても、やはり同じようなあこがれを抱く私、
10数年前から進歩ないなぁと苦笑する気持ちですが・・

今、この本を読んでいて、あらためて感じるのは
「うけつがれていくもの」についてです。
ここには「村」のなかで伝承されてきたものが語られる、
でも「村」のない私は、いったいなにをどこから
うけついできたんだろう、うけついでいるんだろう。

ぼんやりとそんなことを考えながら本を読む時間というのは
なんとぜいたくだなぁなどと思っている今日この頃です。



by namit100 | 2005-05-17 22:36 | 本をよむ

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