受け入れるって、すごいことだ。


カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」

知り合いが「読後呆然」というメールを送ってきたので、
興味を持ち、どんな話かもわからないまま読み始めました。
読んだ後、呆然とはしなかったけど・・・ぼーっとはしました。

内容は詳しく書かない方がよいと思うので、
曖昧な書き方になってしまうのですが・・・。

主人公たちの存在がどういうものかを直接的にあらわす言葉は
2度ほどしか出てきませんが、
彼・彼女たちは、たったひとつの目的のために生まれて死んでいく、
言ってみれば家畜のような存在です。

しかし、延々と語られる主人公の回想の中の彼・彼女たちは、
笑ったり泣いたり、喜んだり悲しんだり、
人を愛し、友人と語り合い、たくさんの思い出を抱え、
そこにあるのはまぎれもない「人生」とかいうものです。
それが読んでいるこちらの気持ちをぞわぞわさせ、
最後にはどうにもこうにもやりきれない思いを抱かせます。

設定自体は、そんなに目新しいものではないかもしれません。
重要なのは設定自体ではないような気がします。

ヘールシャムで生活する彼・彼女たちは、
ルーシー先生の言う通り
「教わっているようで教わっていない」状態です。
自分たちの存在について、未来について、
知ってはいるけれど、本当には理解していません。
けれども、やがてヘールシャムから出て行った彼・彼女たちは、
訪れる現実を受け入れて、やがて`使命を終える’ことになります。
小さな夢を抱くこともありますが、運命は変わりません。

抗うのでもなく、絶望するのでもなく、諦めるのでもなく、
「使命」という言葉を使いながらしかし使命感に燃えるのでもなく、
ただただ受け入れる。

ただ受け入れるということは、なんてすごいことなんだろう。
・・・それが一番印象に残ったことでした。

どうやってもまとまった文章にはならないけれど、
なにか書いておきたくなるような、そんな一冊、でした。
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by namit100 | 2007-01-31 19:22 | 本をよむ

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