もう寝なきゃと思いつつ本を読む。2

伊坂幸太郎さんにハマる・その2 です。

ハマりながらも、他の本も並行して読み出したりして、
さすがに寝不足が仕事にさしつかえそうな感じになってきたので
ここんとこちょっと本を読むペースが落ちているのですが・・
読んだ順にカンタンに感想など。


*重力ピエロ

まず目次を見てびっくりです。章、多すぎだって。
3ページくらいしかない章もあるんだよー、なにこれ。
でも、けっこう自分には向いているかもしれません。
ぱっぱっと目先がかわるのって、読みやすかったりするので。

「ラッシュライフ」を読んだ時に感じた、
‘緻密で乾いたおとぎ話’の印象が、さらに強まりました。

私=泉水、母が強姦されて産まれた弟=春、癌で入院している父、
をめぐる物語という設定は重苦しいものです。
でも、回想され語られる家族のエピソードや
登場人物のありえないほどカッコよすぎる会話から受ける印象は、
あまりにも‘おとぎ話’。
「ピエロが空中ブランコから飛ぶ時、
 みんな重力のことを忘れているんだ」
日常生活で、誰がこんなことを言うんだ?

芸術家や学者やらいろんなウンチク話やら、
ごちゃごちゃと出てくる遺伝子の専門的な話やら、
別に本筋にはなんの影響もなく、
それでいて‘おとぎ話’を形づくる大事な小道具であって。

しかし、この‘おとぎ話’に、まんまとひきつけられたのも確か。
最初の「ジョーダンバット」、たった6ページですでに、
小説全体を貫く私と春の立ち位置がすぱっとあらわされ、
なおかつ非常に魅力的で、あとはひきこまれるように読みました。
(ついでにいえば、後から出てくる放火事件の犯人も、
 この章だけで見当がつくといえばついたりします。)

ラストは「おいおい、これでほんとにいいの?」って感じだけど、
現実の中にあって、でも現実感からはふわっと浮いている、という、
この小説世界はおもしろいです。
テーマがあるようでいて、重たいテーマがどうこうというよりは、
単純にエンタテインメントな小説なんだと思います。
(そのわりにキザったらしいけど)


*グラスホッパー

妻の復讐のためにヤバイとこに足をつっこむ鈴木
人を自殺させるのが商売の「自殺屋」鯨
上司の言うがままに人を切りつける「殺し屋」蝉
槿と書いて‘あさがお’という名の「押し屋」

この人たちのストーリーが並行し、絡み合う、という、
「ラッシュライフ」とちょっと似たような構成になっています。

他の作品でも感じるのは、登場人物のキャラクターや会話が
‘人物’というよりは、‘小道具’というか‘舞台装置’のように
扱われているところなのだけど。
(非常に丁寧に細やかに扱っているのは確かですが)
この作品では無駄なところを削ぎ落として、スピード感はアップした分、
登場人物が完全に‘舞台装置’化しているのがひっかかります。
好き嫌いでいえば、あんまりそういうのは好きじゃないんだろうな、私。

鈴木が回想する、亡くなった妻の話とか、
鯨の前で死んでいく人の心の中とか、
蝉の‘操り人形’であることへの不安とか、
そういう心理描写みたいな部分ですら、やっぱり舞台装置のようで。
その部分部分を切りとってみればおもしろいんだけれど、
なんかちょっと引いてる自分もいますね。

ラストは、みんな死に絶えていきながらも、
やっぱりなんとなく生きる気力が出てくるようなもので、
さすがにこのパターンもちょっと飽きるなぁ、とか思ってたら。
最後の3行で・・・え? これって? と、突然怖くなりました。
すごーく何気なく書かれているんだけど・・
こんだけ緻密に話をつくる作者だから、やっぱりそういうことだよね?
「鈴木」のこれからの話を読みたいような気がしてきました。


*チルドレン

これはよかったです。
この作品が好きかどうか、というのは、たぶん、
「陣内」というキャラクターを愛せるか否か、というところに
大きくかかっていると思うのだけど。

「陣内」の周囲の人々がそれぞれ語っている、5つの短編。
しかし、「短編集のふりをした長編小説です」という、
オビに書かれている作者の言葉のとおり、
5つの話は「陣内」をめぐってつながっています。

それぞれがちょっとした謎解きめいた話になっていて、
それなりに楽しめますが、まぁ、ストーリーとしては、
水戸黄門の印籠と同じくらい御都合主義な感じもします。
「世の中、そんなにうまくいかないよー」っていうような。
(でも、御都合主義って嫌いじゃないんだよなぁ)

しかし、そんなことよりも「陣内」であります。
ここには、周りの人が見た・感じた「陣内」しか描かれていません。
その「陣内」像は、かなりエキセントリックなもので、
もちろん「陣内」本人が何を思っているかといった心理描写は一切なく、
表面的な感もあって。このキャラクターはまさに‘舞台装置’。

なのに、私は伊坂さんの小説を読むようになって初めて、
愛すべき登場人物に出会った、と思いました。
相変わらず感情移入はまったくできないし、
なんでだろう?と不思議ではあるのだけれど。

あと、思うのは、5つの話が実際の時系列にそって並んでいたら、
読み終わったとき、ここまで爽快な気分にならないだろう、ということ。
この順番で、最後がこの話だからこそ、の読後感があると思います。
こういうところ、うまいなぁ。
んで、個人的好みでいえば、人が死なないっていうのも嬉しいです。
「グラスホッパー」で、ちょっと・・・な感じだったので、
この作品は気持ちよく読めてほんとによかったです。
他の作品にみられない、ほのぼのとした感じがあって、かなり好き。


********

というわけで、とりあえず3冊読んだところで、やっと、
文庫になっている「オーデュボンの祈り」を手に入れて読みました。
で、これが、私のこれまでのベスト30冊くらいに入る勢いだったんで、
それはまた別に書こうと思っております。
しつこく、伊坂幸太郎さんにハマる・その3 までいくことになりそうです。
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by namit100 | 2005-07-04 21:34 | 本をよむ

仕事と育児に追われる毎日にウルオイを!求めつつもちっとも更新できてませんブログ byなみ
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